AIネイティブな”コンサル×事業開発”の両輪で新たな価値創造へ/執行役員 周氏インタビュー

enableXの執行役員を務める周氏。マッキンゼーでのコンサルティング経験、AIスタートアップでの事業開発経験、そして自身の会社経営を経て、なぜenableXへの参画を決めたのか。AIネイティブなコンサルファーム×事業開発というビジョンについて語っていただきました。

マッキンゼーからAIスタートアップへ、テクノロジー活用を軸にしたキャリア
―まず、周さんのこれまでのご経歴について教えてください。
新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、ちょうど4年間在籍していました。主にテクノロジーセクターを担当し、製造業やハイテク企業向けに、戦略策定からオペレーション改革、テクノロジー導入まで幅広い案件に携わりました。
転機となったのは2018年から2019年にかけてです。ちょうど機械学習やAIが急速に注目を集めた時期で、多くの日本企業がAIの実証実験や事業戦略への組み込みを検討し始めました。この時期、私はAIチームとして、様々な企業のAI導入プロジェクトを推進していました。
しかし、プロジェクトを進める中で、実装まで至らない案件も多く見てきました。クライアント側も実証実験で終わってしまい、実際の事業開発につながらない。そんな状況を目の当たりにして、当時のプロジェクトリーダーと「自分たちで事業を作った方が早いのではないか」という話をよくしていました。
そして、その先輩が「じゃあ、自分で会社を作るよ」となったタイミングで、私もニューラルポケット(現ニューラルグループ)という画像解析AI企業の立ち上げに飛び込みました。
―ニューラルポケットではどのような役割を担われたのですか。
COO(Chief Operating Officer)として、営業、事業開発、マーケティング、アライアンスなど、ビジネスサイド全般を統括していました。ゼロからチームの採用を含めて、すべてを構築していきました。
具体的には、画像AIを活用したB2Bソリューションの開発・販売です。AIカメラで車の台数や人の数を数える、顔認証を行うといったプロジェクトを、不動産デベロッパーや交通機関、鉄道会社などに提供していました。
5年弱の在籍期間中、会社の上場も経験しました。また、関連デバイス企業の買収・子会社化では、その会社の社長も務めました。事業開発だけでなく、経営者としての経験も積むことができました。
海外展開も積極的に推進し、東南アジアや中国の企業との取引、タイでのAIカメラ販売など、クロスボーダーのプロジェクトも多数手がけたことは、グローバルな視点でAIビジネスを展開する貴重な経験となりました。
―その後、独立されたのですね。
はい、その後アスピレテックコンサルティングという会社を設立しました。AI系ソリューションの受託開発やコンサルティング事業を展開しながら、AIを活用した様々なプロジェクトを推進してきました。結果、8年以上、一貫してAIを使ってオペレーションや事業がどう変わるか、というテーマに取り組んできました。

規模の限界を感じ、本質的な価値創造ができるパートナーを求めて
―なぜM&Aという選択肢を検討されたのでしょうか。
アスピレテックコンサルティングでは、数名という最小構成で運営していました。それなりに成長はしていましたが、1年ほど前から「今の体制でやる分には天井かな」という限界を感じ始めていました。
特に痛感したのがファンクションの不足です。事業開発を本格的に進めようとすると、マーケティング、ファイナンス、場合によってはM&Aの実行など、多様な専門性が必要になります。AIに関してはエンジニアをそれなりに確保できていましたが、マーケティングメンバーがいない、ファイナンス系の案件は対応できない、といった状況でした。
相談は来るけれども断らざるを得ない案件も多く、体制面を考えるとどこかと組む必要があると強く感じていました。そんな中で、M&Aは有力な選択肢の一つでした。
―数ある選択肢の中で、なぜenableXを選ばれたのですか。
最大の理由は、新しいコンサルティングの形を追求している点です。
コンサルから事業会社を経験した立場から、資料をたくさん作って提案して終わり、という従来型のコンサルは年々存在意義が薄くなっていると思います。実際の成果が出るまで伴走し、単なるサジェスチョンだけでなく実際のソリューションを提示する、場合によっては一緒に事業を作る。そういったことが求められています。
しかし、それができる人材は実は非常に少ない。コンサル経験もあり、事業会社経験もある人材は希少です。私自身の経験から言えば、事業開発では「自分が主役」という意識が強くなりがちです。それはそれで事業のグロースには必要な要素ですが、コンサルティングではお客様を立て、黒子に徹する必要があります。
このバランスを理解し、しかるべきタイミングでしかるべき役割を演じられる人は案外少ない。自分で事業をやって「これができた」という手応えがないと、黒子に徹する選択ができなかったりします。一方で、実業の経験がないと、机上の空論でない伴走ができない。
enableXには、この両方の素養を持つメンバーが集まっています。これが、enableXなら本当に意味のあるコンサルティングを実現できると考えた理由です。
また、もちろん、マーケティングやファイナンスといった不足していたファンクションが一気に広がることも大きな魅力でした。これまで断っていた案件にも対応できるようになり、より包括的な価値提供が可能になります。

AIネイティブなコンサルファームと事業開発スタジオ、2つの野心的ビジョン
―今後、enableXでどのような事業を展開していきたいとお考えですか。
大きく2つのビジョンを持っています。
1. AIネイティブなコンサルファーム経営の実現
まず、この2〜3年の生成AIの発展により、コンサルティング業界のあり方は大きく変わってきました。かつては価値があった「情報を集めて整理する」という仕事は、今やAIの方が高いレベルでできるようになっています。下手をすると、コンサルタント以上にAIのレベルが高いという状況も生まれつつあります。
そんな中で、コンサルタントが何をすべきか。マッキンゼーやアクセンチュアといった伝統的に大きなファームでは逆にできないことが、新興のファームだからこそできる。そこに勝機があると考えています。
従来のコンサルは極めて属人的なビジネスです。マッキンゼーやBCG、アクセンチュアなどそれぞれにファームの色はありますが、中にいる人が移籍したら、移籍先が新しいマッキンゼーになるだけだったりもします。キーマンが辞めると途端に売上が落ちる、そんな脆弱性を抱えています。
私たちが目指すのは、AIを活用して再現性の高いオペレーションを構築することです。営業の部分から、実際の案件のデリバリー、ナレッジの共有まで、AIをフル活用して最小人数で最大効率を実現する。
具体的には、誰がお客様を担当しても一定のクオリティが常に出る状態を作る。内部調査や情報収集はAIを用いて最短距離で行い、本当に重要な経営の意思決定や新規事業開発のディスカッション、本質的な伴走支援に時間を使える状態を作りたいと考えています。
2. 再現性のある事業開発スタジオの構築
2つ目のビジョンは、事業開発、特に新規事業開発の「型」を作ることです。
実は新規事業開発には型がないんです。MBAでは経営管理の教科書はありますが、新規事業開発については「アントレプレナーシップ」という言葉で片付けられ、具体的な方法論が確立されていません。最近、シリコンバレーの大学でも授業はありますが、ブレスト大会のような内容で、実践的ではないこともあります。
さらに、国ごとに事情も大きく異なります。シリコンバレーで言われていることをそのまま日本に適用しても機能しない。日本やアジアという、我々がカバーする領域での新規事業を作るプロセスを体系化する必要があります。
もちろん、最後は経営者のひらめきというアート的な部分は残ります。しかし、それ以外の「最低限これは絶対にやるべき」という型を作り、再現性のある形で新規事業を立ち上げていく。クライアント企業がどんどん新規事業を生み出していける状態に持っていきたいです。
こういった「事業開発スタジオ」のような体制は、おそらく今、しっかりと実現している会社はないはずです。これができれば、非常にパワフルな価値提供になると考えています。

経験の差を埋める仕組みで、誰もが両輪の力を発揮できる環境へ
―コンサルか事業会社、どちらか片方の経験しかない人でも活躍できるのでしょうか。
おっしゃる通り、両方の経験を持つ人材は非常に少ないです。ですから、そういう人が採用できない限りenableXのやりたいことができない、となってしまっては意味がありません。
そのため、enableXが構築しようとしている体系的なプロセスや型を活用すれば、通常なら事業会社で2〜3年修行しないとできないことを、3ヶ月程度のプロジェクトでキャッチアップできる環境を作りたいと考えています。
コンサルしか経験がない人なら、事業開発の実践的な部分を。事業会社しか経験がない人なら、コンサルティングの思考法や伴走のやり方を。それぞれ最短距離で身につけられる仕組みを作るために、重要なのはやはり実践を通じて学ぶことです。
キャッチアップ期間を最短にとどめた上で、どんどんプロジェクトの中で経験を積み、両方の観点を持って推進できるようになっていく。会社全体のオペレーションとして、そういった成長を支援する体制を作っていきたいと思っています。
―最後に、どのような方と一緒に働きたいか、メッセージをお願いします。
enableXの最大の魅力は、コンサルティングと事業作りの両方に興味を持つ人材が集まっていることです。アドバイザリー業と事業作りを両輪で回していきたい、そんな思いを持つ方とぜひ一緒に働きたいです。
今までの経験が片方に偏っていても構いません。大切なのは、両方に取り組んでいきたいという意欲です。
私たちが目指すのは、単にレポートを作って納品するような伝統的なコンサルではなく、お客様の本質的な価値、特に新しい収益源となる新規事業の創出にコミットする。そんな仕事にどっぷりハマっていきたい方を求めています。
AIネイティブなコンサルファームという新しい形と、事業開発スタジオという構想の両輪で、これまでにない価値創造に挑戦していきます。一緒に、コンサルティング業界の新しいスタンダードを作っていきましょう。