日韓クロスボーダーから始まるアジア経済圏構築への挑戦/執行役員 韓氏インタビュー

アーサー・ディ・リトル社からロボットスタートアップ、韓国スタートアップの日本展開支援を経て、自身で起業したNofty Consulting社。日韓クロスボーダービジネスの第一人者として活躍してきた韓氏が、なぜenableXへのM&Aによる参画を決めたのか。アジア経済圏構築という壮大なビジョンと、「自分を信じる」ことの大切さについて韓氏に語っていただきました。
コンサルからスタートアップ、そして日韓ビジネスの架け橋へ
―まず、韓さんのこれまでのご経歴について教えてください。
新卒でアーサー・D・リトル(ADL)という外資系コンサルティング会社に入社し、約2年半コンサルタントとして働いていました。主に担当していたのは、お客様の新規事業や海外向けの調査案件です。
特に印象に残っているのは、大手SIer向けのITプラットフォーム事業戦略の案件です。今後のプラットフォーム戦略について、Uberなどの海外事例を徹底的に調査し、海外のエキスパートインタビューも実施しました。当時は2014-15年頃で、まさに「Software is eating the world*」の時代。今でいうAIが当時のITだったんです。大企業がITの波をどう事業戦略に組み込んでいくか、そこに強い興味を持つようになりました。
*「ソフトウェアが世界を飲み込んでいる」という意味で、あらゆる産業がソフトウェアによって変革され、支配されつつあることを表現しています。
その後、日本のロボットスタートアップに転職しました。そこでは事業開発を担当して採用サポートや知財戦略などを行ってきましたが、もっとがっつり事業を作りたいと思い、その後は韓国のSaaSスタートアップの日本立ち上げに参画しました。約3年間、プロダクト開発以外のすべてを担当しました。許認可の届け出から、バックオフィス業務、営業、パートナーシップまで。大手の事業者から出資もいただいていたので、オープンイノベーションの協業も推進しました。
このスタートアップは複数の事業を行っていましたが、コロナで事業をクローズするタイミングで退職し、Nofty Consulting社を設立しました。
―起業の経緯について詳しく教えてください。
先ほどの韓国のスタートアップが3年でかなりうまくいっていたのですが、他の韓国のスタートアップから「日本事業に興味があるけれど、うまくいっている会社が他にない」という相談が増えてきました。人の紹介依頼なども多く、1つの会社だけではなく、複数の会社をサポートした方が世の中にインパクトが出せると考えました。
また、韓国から日本への進出は多いですが、逆に日本から韓国に進出することも大事だと考えています。日本企業も韓国のスタートアップとの協業は増えていますが、もっとアクティブに日本から韓国に出ていき、現地の良い技術を持つ会社と組んで、日本で大きくしていく必要があります。
特にテクノロジー分野では韓国は非常に進んでいます。アメリカから帰ってくる人材の数も多いですし、グローバルレベルで戦っているプロダクトも日本より多い印象です。そのプロダクトを日本に取り込んで、グローバルで戦っていくことで日本のITスタートアップもレベルアップする必要があると考えています。

自己成長のためのM&A、エンタープライズ×クロスボーダーの可能性
―M&Aという選択肢を考えられた理由は何ですか。
正直、もともとはM&Aというオプションは考えていませんでした。会社としても利益を出していて、短期的には問題なく運営できる状態でした。
M&Aを選択したのは、自分の成長のためです。Nofty Consulting社は規模が大きくはなかったので、次の段階にどう進むかで悩んでいました。そんな時、enableXの代表の釼持さんから声をかけていただきました。
釼持さんとお話をしていくなかで、「経営者として高い視座を持ち、会社の規模を拡大していけば、それだけ社会に与えるインパクトも大きくなる」と思い、自分のコンフォートゾーンを出るための手段として、M&Aを選びました。
―enableXとのシナジーについてはどう考えていますか。
Nofty Consulting社は、スタートアップとのお仕事が多かったです。そのため、もっとエンタープライズ側の目線に立って、クロスボーダーをやっていく必要があると感じていました。
enableXはエンタープライズのお客様への実績を豊富に持っています。エンタープライズ向けの強みを私たちが吸収し、私たちが持つ韓国スタートアップや韓国企業へのネットワークを掛け合わせることができれば、すごく伸びると思いました。
特に、日本から韓国へという動きは、IPコンテンツ以外だと、ITソフトウェア周りはまだまだチャンスがあります。エンタープライズにそういった話を持っていければ、社会により大きなインパクトを生み出せると考えています。
―現状の日本企業の韓国進出の現状はどのように捉えていますか。
会社によってまちまちな印象です。豊田通商が今年韓国の二次電池企業に投資するなど、アクティブな動きをしている会社もありますが、多くの企業は様子見の状態です。
業界で言うと、コンテンツ系やIP系の会社は、韓流コンテンツを取りに行く動きは活発です。特に人手が足りないアニメ製作会社は韓国のスタジオと組んでJVを設立するなど、積極手な動きを見せていますね。一方、ITソフトウェア企業は「韓国ってよくわからない」「アメリカの方がいいのではないか?」と思っている会社も多いです。
しかし、商習慣や言葉の壁、時差、地理的な距離を考えると、アメリカより韓国の方がハードルは低い。私もほぼ毎週韓国に行くぐらい行き来もしやすいです。ソフトウェア領域は、もっと活発化してもいいと思っています。


日韓から始まるアジア経済圏構築という壮大なビジョン
―enableXで描いている今後のビジョンについて教えてください。
今は日韓にフォーカスしていますが、これをもっと広げていきたいと考えています。
韓国の会社ともよく話すのですが、グローバルで見ると中国とアメリカという二極がある中で、日本や韓国のような、経済規模はある程度あるけれど、その間に挟まれる国々が今後どうしていくかが鍵かと思います。
よく言われるのが、ドイツ等を例に挙げられますが、人口8000万人程度だと1つの経済圏ができるという話です。日本も韓国も人口が減少していく中で、経済規模を保ち成長を続けるためには、日韓がもっと緊密になるべきです。
これは日韓に閉じず、アジア経済圏という観点で、台湾、シンガポール、東南アジアとも手を取り合って展開していく。日本企業のアジア経済圏への展開の強化を、現地のことをよく知り、日本のビジネスも理解しているenableXとして裏側でサポートしていくことで、最終的には、アメリカや中国、ヨーロッパも含めて、経済圏を広げていくための動きをしていきたいです。

躊躇せず手を動かし、自分を信じられる人と共に
―韓さんはenableXでどんな方と一緒に働きたいですか。
海外の、今はまだ韓国に限定されますが、グローバルレベルで戦っているプロダクトを取り込んで、日本に持ってきて、日本のレベルを一緒に上げていきたいような人に来てほしいです。
言語能力は最低限必要ですが、それよりも外の人をうまく引っ張り込める、巻き込んでいける、それをこれまではこうだからできない、といった偏見なくやっていける人が重要です。
実際の例を挙げると、はじめて韓国展開を行うお客様のメンバーの方で、韓国語が全くできないにもかかわらず 、LinkedInでメッセージをガンガン打って、人を採用し、お客様も獲得しているという方がいらっしゃいます。その方のような、自ら積極的に動くことに躊躇のない方がすごくマッチすると思います。
海外展開において矛盾したことを言うようですが、海外のことをよく理解する必要はあるものの「海外だからこうしなくてはいけない」という思い出がんじがらめになって身動きが取れなくなることが一番のリスクです。間違ってもいいから、とりあえず手数をたくさん出せる方。海外だからといって固定観念を持つより、柔軟に「とりあえずやってみよう!」と、今できることを全部ぶつけられる勇気がある人がいいと思います。
―最後に、enableXを検討している方へメッセージをお願いします。
自分を信じられる人と一緒に働きたいと思います。
もう少し具体的に言うと、傲慢になるということではなく、自分がやったことないけれども「これやれるかな」と思ったときに、楽観的で自分のことを信じている人。賢い人であればあるほど、やったことないことに対する恐怖感は大きく、それが一番邪魔になります。
賢い人であればあるほど、自分がやったことないことに対して飛び込んでいける勇気を持ってほしい。事業開発って、まさにそういう部分があると思っています。
AIをやったことない、言語がそこまで得意じゃない、コンサル経験しかない、事業会社経験しかない…、そういったことに恐怖感を感じている方も多いと思います。でも、自分を信じて飛び込んでみてください。
enableXで、日韓クロスボーダーから始まるアジア経済圏構築という大きなビジョンに向かって、一緒に挑戦していきましょう。