「勝ち馬を作る」覚悟で挑む、AIを核にしたトライアングル戦略/執行役員 山﨑氏インタビュー

野村證券、Meta、Netflixという企業でキャリアを積み、自ら起業した会社を7年間経営してきた山﨑氏。なぜ今、enableXとのM&Aを決断したのか。その背景と、上場企業のバリューアップという野心的なビジョンについて語っていただきました。

金融からテック企業、そして起業へ。グローバルに広がるマーケティングのキャリア
―まず、山﨑さんのこれまでのご経歴について教えてください。
新卒で野村證券に入社し、約2年間リテール営業に従事しました。その後、別の領域に挑戦したいと思い、NGI Group(現ユナイテッド)に転職。ここで初めてインターネット広告に携わることになります。ユナイテッドで、運良く海外事業部に配属され、海外での飛び込み営業を経験しました。当時のインターネット広告はまだアナログで、いかに広告在庫を確保するかが重要になっていたので、海外の広告在庫を取りに行くという形で、ニューヨークなどで1年間ほど海外営業をしていました。
しかし、海外事業は結果的にうまくいかず、事業閉鎖。そのタイミングでFacebook(現Meta)の方と知り合い、「日本法人をこれから拡大していくから受けてみないか」と声をかけていただき、面接を受けて入社することになりました。
―Metaではどのような経験を積まれたのですか。
Metaでは約2年間、国内での広告営業を担当して、ベンチャー企業からエンタープライズ企業まで、幅広く対応していました。
その後、チーム体制の変更に伴い、シンガポール勤務の機会を得ました。そこでは主に日本の広告代理店の支援や、海外広告主への対応を約2年間行いました。
そんな中、Meta時代のリクルーターがNetflixに転職しており、「Netflixに興味はありませんか?」と声をかけられました。当時は起業か転職かで悩んでいましたが、Netflixが非常に面白いフェーズだったため、デジタルマーケティング責任者として入社することを決めました。
―そして起業されたわけですね。
Netflixで約2年半、エンターテインメントのマーケティングに携わった後、自分の会社「Minato」を起業しました。7年ほど経営したタイミングで、enableXにジョインすることになりました。
Minatoでは最初は自分一人でスタートし、営業もデリバリーもすべて行っていました。Netflixでは定量・定性調査を重視していたので、「日本の企業ももっとしっかりやればいいのに」という思いから、そういった調査の推進も含めてマーケティングコンサルティングを始めました。
マーケティングコンサルを拡大していく中で、EC企業さまの課題感として、薬機法の厳格化や広告CPM単価の上昇により、ダイレクトレスポンス型の顧客獲得が難しくなってきた背景がありました。自社ECだけでなくモールも含めたマルチチャネル戦略の必要性を感じ、ECモールの支援事業を立ち上げました。
また、インフルエンサーマーケティングの課題に着目して、企業とインフルエンサーを直接結びつける事業も立ち上げて、運営しています。

「期待以上は愛」を掲げ、日本経済への貢献を目指す経営哲学
―7年間の経営で大切にしてきたことは何ですか。
個人的には、日本経済を盛り上げたいという思いがあります。子どもが2人いることもあり、「このままでは日本は厳しい」と感じているからこそ、日本が元気になれば自分たちも潤う、という考えで経営しています。
Minatoは、「面白い領域にどんどんチャレンジしていこう」というミッションを掲げています。面白い領域にどれだけ注力できるか、そのセンターピンに入れるかどうかが重要だと考えています。
価値観として特に重視しているのは3つです。
1つ目は “Do challenge”──積極的にチャレンジする姿勢。
2つ目は “Do drive”──自分で物事を推進すること。他人からのボールを受けて、前向きに動かすベンチャーマインドです。
そして3つ目が “Do delight”──相手を喜ばせる、楽しませる姿勢です。ここに込めた想いが「期待以上は愛」。相手の期待を超えることこそが、愛ある仕事であり、信頼を得る鍵だと考えています。

5年後を見据えた決断。AIの進化と事業の未来
―なぜM&Aという選択肢を考え、enableXを選ばれたのですか。
実は半年ほど前からM&Aは考えていました。大きく3つの理由があります。
1つ目は採用です。成長を目指す上で、マーケティング領域をはじめとした専門人材の採用は業界全体の共通課題となっています。enableXとのM&Aにより、より魅力的な成長環境と多様なキャリアパスを提供できる組織となることで、優秀な人材が集まり、活躍できる組織を構築していきたいと考えています。
2つ目はAIの進化です。AI技術の急速な発展により、現在のビジネスモデルをさらに進化させ、テクノロジーを活用した新たな価値創造に挑戦する時期が来ているという感覚を持っていました。enableXとMinatoの強みを組み合わせることで、業界をリードする革新的なサービスを生み出していけると感じています。
3つ目は営業の属人性です。enableXとなら、これまで培ってきた営業ノウハウを、より多くのメンバーと共有し、持続的に成長できる強固な営業組織を構築できると考えました。
実は、他にも1社と話をしていましたが、enableXの釼持代表と話した時に、AIソリューションを掛け合わせて顧客に価値を提供していくビジネスモデルが非常に面白いと感じました。特にenableXが行っている事業は、自分がタッチしたことがない領域で、戦略・ITコンサルの経験もないため、AIやITコンサルは全く未知の領域でした。自分のレベルアップも含めて、難しい方を選んだという面もあります。


戦略×ITソリューション×実務デリバリー、AIを核にしたトライアングル戦略
―enableXでの今後のビジョンについて教えてください。
enableX は、「戦略立案」「ITソリューション」「実務デリバリー」の3つの要素をAIで統合し、クライアントを包括的に支援できるファームを目指していると考えています。
enableXのユニークな点は、戦略コンサルに留まらず、実行まで伴走し、AIとIT導入を掛け合わせられること。そのポジションから、新規事業の共創や自社ビジネスの立ち上げも可能です。
個人的な野望としては、enableXではファンドの立ち上げも構想しているため、その中で、事業成長に課題がある上場企業と連携して、バリューアップにも挑戦したいと考えています。enableXはまだ小さい会社ですが、資金さえあれば上場企業の経営や財務の一部に関わることができると思っています。
時価総額に課題感を抱えている企業に対して、我々の知見やAIソリューション、人材を提供することで、シナジーを作り、共創していく。資本関係のある上場企業とともにバリューアップが実現できれば、非常に面白いと考えています。
―M&Aで期待するシナジーは何ですか。
既存事業では、enableXが上流案件を押さえ、我々が実務のデリバリーを含めてクロスセル・アップセルができれば大きなシナジーになります。
また、Minatoは営業力でリードを作ることができますが、今は宝の持ち腐れになっているリードもあります。そういったリードをenableXにパスすることで、相互送客のシナジーが生まれると期待しています。

当たり前の基準が高い組織で、共に「勝ち馬を作る」仲間を求めて
―enableXの魅力は何ですか。
フラットに言うと、enableXのメンバーは顧客に対して本当にバリューを出そうとしています。しかも、非常に高いバリューを出そうとしている。
アウトプットもレベルが高く、営業でのディスカッションペーパーの段階から非常に思考されて出されています。準備、コミュニケーション、実際のデリバリー、PMも含めて、当たり前の基準が高い。
知恵の部分もそうですし、知的体力もそうです。ちゃんとクライアントに向き合ってやり切ろうとする姿勢が伝わってきます。
また、これを魅力と捉えるかネガティブに捉えるかは人によりますが、enableXはまだアーリーステージの会社です。整っていないことも多く、その問題をどうやったら解決できるか、どうクリアしていくかということに、全員がひたむきに前向きに向き合って、常に壁を超えようとしている。それが一緒に働いてみて感じる大きな魅力です。
―どんな方と一緒に働きたいですか。
私が常に大切にしているのは、「勝ち馬に乗る」のではなく「勝ち馬を作る」ということです。それが醍醐味であり、重要だと思っています。
せっかくenableXのようなステージの会社に来るのであれば、既存の枠組みではできなかったことや、大企業ではなかなか難しいことに挑戦してほしい。一緒に勝ち馬を作る、勝ち馬チームを作りに行く。その作る工程を楽しめる人と働きたいですね。ビジネスの世界なので、勝ちに行かないと結局、個人としてのバリューも上がっていきません。
enableXで共に勝ち馬を作っていきましょう。